「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本
編集者が他社の本で
「やられた」「悔しい」と思った3冊
本屋さんで、タイトルを見ただけで「あ、これ私のことだわ」と手に取った本。ありませんか?
実はその“ひと言”には、つくり手の大きな工夫がつまっているんです。そして、それにいちばん敏感なのが、同じ本をつくる編集者だったりします。
サンマーク出版のラジオ「SUNMARK VOICE」で、サンマーク出版の編集長・岸田健児編集長が、他社の本を見て本気で悔しくなった3冊を、正直に語ってくれました。編集者になって15年。たくさんの本を見てきたプロが「なんで自分で思いつけなかったんだろう」とうなった本です。
どれも有名なベストセラーなので、「あ、知ってる」という方もいるかもしれません。でも今回は、中身よりも「どうしてこの本は、こんなに多くの人の心に届いたの?」という裏側のお話。知ってから読むと、きっと見え方が変わりますよ。
「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本
「そうなのよ、私」とうなずける──『「繊細さん」の本』
まわりに気がつきすぎて、なんだか疲れてしまう。そんな心当たりがある方が読むと、心が楽になる一冊です。60万部のベストセラーになっています。※1
岸田編集長がうなったのは、「繊細さん」という言葉。
だって「私、気にしいさんなの」とは、あまり言いたくないですよね。でも「繊細さん」なら、「そうなの、私って繊細なのよ」と、自分を素直に認めてあげられる。人に「あなた繊細さんね」と言っても失礼になりません。
「あなたの心は、繊細なガラス細工のように壊れやすいもの。だから大切に守ってあげましょうね」――このタイトルには、そんなやさしいメッセージがこめられています。
そう言われて、嫌な気持ちになる人はいませんよね。むしろ「わかってもらえた」と、ほっとするはずです。だからこそ「繊細さん」という言葉は、本を飛び出してみんなの会話に広がっていったんです。
岸田編集長はこの本を読んでから、自分の本のタイトルを「言いたくなる言葉かな?」「レジに持っていきにくくないかな?」と必ずチェックしているそうです。
※1 著者公式サイト「繊細の森」に「60万部突破」と記載。
いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才
『いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才』――ちょうどいい「2時間」
今井孝さんの本で、すばる舎から2024年6月24日(月)に発売。10万部を超え、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」のビジネス実務部門で1位になりました。※2
充実したいい1日を過ごすことはとても簡単です。
なぜなら、「いい1日だった」と感じるために、24時間すべてが素敵である必要はないからです。
友達と飲みに行った2時間が楽しかった。今日見た2時間の映画が最高だった。道に迷っている人を案内したら喜ばれた。──充実したいい一日は、たった2時間あれば得られる、というのです。
岸田編集長自身も、この本に背中を押されたひとり。冬の夕方5時ごろ、書店でパラパラと立ち読みしたあと、「まだ夕方5時。家に帰るのを2時間だけ遅らせれば……」と、その足で映画館へ向かったそうです。
差し出したのは、たった2時間。それなのに、その日は今でも人に話せるほど記憶に残る一日になり、「人生を一気に変えてくれた」と感じたといいます。
「毎日同じことの繰り返しで、なんだか物足りないわ」という方にこそ読んでほしい一冊。暮らしを大きく変えなくても、2時間の使い方を少し見直すだけでいいんです。
(補足)心理学の「ピーク・エンドの法則」でも、人は出来事をいちばん心が動いた瞬間と終わりの印象で覚えやすい、とわかっています。※3
※2 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2025」ビジネス実務部門1位。
※3 Kahneman, D. et al. (1993)/Redelmeier & Kahneman (1996)
ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ -
『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』――暮らし方を変えた本
「ミニマリスト」という言葉を一気に広めた、国内16万部超えのベストセラーです。※4
実は著者の佐々木典士さんは、岸田編集長の元同僚。同じ編集部で、席は真後ろだったそうです。「すぐそばにいたのに、その才能に気づけなかった」――それが悔しかったんですね。
佐々木さんのお部屋は、机と椅子がひとつずつだけ。ふつうに話しても声が響くほどモノがなく、タオルの代わりに手ぬぐい1枚で暮らしていたそうです。
この本が出たあと、「ミニマリスト」という言葉は一気に広まりました。読んだ人の暮らし方まで変えてしまう。それこそが、編集者がいちばん目指していることなんだそうです。
この本が出たのは、東日本大震災の記憶がまだ残っていたころ。発売直後から驚くほど売れて、取材の依頼が殺到し、たくさんのテレビ番組でも紹介されました。机と椅子だけの部屋で仕事をする著者の姿は、それだけ印象的だったんですね。すっきりしたお部屋の人に「ミニマリストなの?」と声をかける――そんな会話が当たり前になったのも、この本がきっかけです。
本の中には、佐々木さんの実際の暮らしぶりや、何が必要で何がいらないのか、ただ「捨てる」こととはどう違うのか、がたっぷり書かれています。
(補足)米国の大学の調査では、家を「散らかっている」と感じている女性ほど、ストレスを感じやすい傾向が見られたそうです。※5
※4 ワニブックスの告知(2017年4月3日)で「国内16万部を超えるベストセラー」。ワニブックスOUT
※5 Saxbe & Repetti (2010) Personality and Social Psychology Bulletin


